知っておきたい保障のこと 公的医療保険で保障されないもの

公的医療保障が使えないのは?

公的医療保障の給付ですべて安心ならいいのですが、やはりそれだけでは不安なケースもあります。無駄なくリスクに備えるために、公的医療保障の使える範囲を知っておきましょう。

病気やケガの際、病院の支払いには公的医療保険が使えるものと使えないものがあります。公的医療保険を取り扱う医療機関へ保険証を提示すれば、外来・入院に関わらず医療費の3割にあたる自己負担で治療が受けられるのは「公的医療保障って何?」でご説明したとおりですが、どんな場合でも公的医療保険が使えるのかといえば、やはり使えないケースもあります。

公的医療保障が使えないもの

差額ベッド代
入院したときに、患者側の希望で個室などを利用した場合、通常の大部屋との差額は公的医療保険の適用範囲外となります。
しかし、病院が差額ベッド代を請求できるのは「患者が希望した場合」に限られ、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けた同意書が必要です。「緊急を要する入院だが空き部屋がない」、「特別の治療をする上で個室入院が必要」といった病院側の理由で徴収することはできないことになっています。
自己負担額は差額ベッド代の金額が大きく影響しますので、同意しなければ発生しないというルールを覚えておきましょう。
また、治療を受けるために必要でない場合の差額ベッド代は税金の医療費控除の対象になりません。
食事代
入院時の食事代が1食につき460円を超えた場合、超えた分については「入院時食事療養費」として健康保険が病院へ支払います。
しかし、特別メニューなどを希望した場合の特別料金は自己負担することになります。ただし食事代は通常生活時にもかかる費用なので普段の食費を越えなければ特別な出費にはなりません。
なお、食事代の標準負担額は高額療養費の対象とはなりませんが、税金の医療費控除の対象となります。このほかに入院時の日用品なども思わぬ出費となります。
先進医療
厚生労働省の承認を受け、特定の大学病院や専門病院が行っている最新治療や手術法のことで、患者が希望し医師が必要と合理性を認めた時に行われます。
この医療を受けた場合、一般の診療と変わらない基礎的な部分は保険診療分扱いになりますが、先進医療部分 ( 特別サービスの部分 ) には健康保険が適用されないため高額になることもあります。
ただし税金の医療費控除が受けられますので領収書は保管しておきましょう。

健康保険の使えない医療費の差額ベッドや先進医療の利用は、
患者の選択によるものということを理解していただけましたか?